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icon009.gif金魚の王様item060.gif

  らんちゅうを漢字で書くと蘭鋳や蘭虫となります。とても金魚に似つかわしくない美しい名前です。なぜなら、一般的に、和金、出目金、流金などと何がし金と銘銘されたものが多く、花や虫の名前かと思ってしまうほど美しいイメージが、この漢名から自然と湧いてくる気がします。

  なにか美しく優雅な姿が頭に浮かんでは来ませんか? 名は体を現すとはよく言ったもので、まさしく金魚の王様と言われるだけあってその美しく優雅に泳ぐ姿は、他の金魚とは比較にならないほど人々を魅了し続け、全国各地で歴史と格式のある品評会が毎年行われるほどです

  出版物によると、らんちゅう飼育の難易度は金魚の中でも一番難しいように言われておりますが、他の金魚飼育の基本とさほど変わりはなく、基本知識があればあまり神経質にならなくても飼うことができます。 

  ひとたび 、らんちゅうを飼い始めると、その伝統美と可愛らしさにほとんどの方はまるで我が子のように愛育し、慣れると飼主のほうに寄ってきて餌をねだるほど懐いてきます。飼い続けるにつれ安らぎや癒しをあたえてくれます。以前、ロボット犬などの代替ペットが流行しましたが、やはり、生き物はどんなモノよりも人の心を癒してくれます。

icon009.gifらんちゅう歴史考item060.gif

 蘭鋳の歴史は、まず金魚の歴史を紐解くことからはじめなければならないでしょう。金魚の歴史は古く、今から500年以上も前の戦国の動乱期にまで遡ります。いわゆる金魚という魚は、文亀ニ年正月廿日(西暦1502年)後柏原天皇の時代の足利期に支那の国(現中国)から泉州国の左海の津(現、大阪の堺)へ輸入された後、都で一部の上級貴族のあいだで御園池の装飾用の観賞魚としてもてはやされたのが始まりと言われております。今とはちがい頗る高級な観賞魚として楽しむ高級貴族の独占娯楽だったようです。

 その後、様々な品種の輸入により改良などを経て、寛永前後の徳川江戸中期ごろに特権的に日本との貿易を許されていた和蘭陀人(オランダ人)によって、支那の国から持ち込んだたマルコと呼ばれる泳ぎの揺ったりなものに品種改良により優雅な尻鰭を付け”蘭鋳”としたのが始まりと言われています。 このころより、江戸中期以降の市中経済の発展も手伝って裕福な財を成す町方の旦那衆から後には庶民の間にまで広まったと考えられています。

 つまり、蘭鋳の優美さを競い合う会合などが発展したのは江戸中期以降のことで、現在の東京から隆盛を極め広がった庶民にも町方にも共通の華のある娯楽だったようです。 蘭鋳の品評会における関東筋の祖で、現存する石川宗家(先代、石川 亀吉氏)は、この世界ではあまりにも有名で、愛好家のあいだでは知らない人はいないでしょう。次項の「らんちゅうの系統考(血筋)」でご理解頂けますが、京都筋の祖、故宇野仁松氏(陶芸家)も品評会の審査などで上京されたおり宗家との交流が盛んだったようです。

icon009.gifらんちゅう系統考(血筋)item060.gif

 蘭鋳の血筋には、大きく分けて関東筋、京都筋(宇野系)、大阪筋の3系統が有名です。このうち京都筋(宇野系)らんちゅうは京都在住の陶芸家である故人の宇野 仁松氏が観魚会などの関東筋の審査のため東京へ上京されたときに京都に持ち帰ったものを故人が長い年月をかけて京都らんちゅうとして作出されたもので、もとは協会系と呼ばれる関東筋のらんちゅうと元の血筋は同じです。ただ、関東筋のなかでも鱗の並びが細かく綺麗な血筋をもとに作出したものが京都筋と言われています。

 京都筋は関東筋よりも尾びれがやや小さく張りがないと言われます。 大阪らんちゅうは明治から大正にかけて関西で大流行したそうですが、第二次大戦時の戦火によって絶滅してしまったそうです。しかし、らんちゅう、出雲なんきん、土佐金から奈良の西川さん尊父さんらが復活にご尽力されているようです。市場ではあまり見受けられませんが、丸みが強く原種のマルコに近かいと言われているようですが正式には現存していないのでわかりません。いまで言うナンキンに近いと言われます。が、もとの姿形を取り戻すにはまだまだ時間がかかりそうです。

 このように蘭鋳の血筋というものは、かなりの年月(何百年)と殊勝な好事家の努力によって今日の現在にまで脈々と引き継がれた偉大なる生きる財産であると言えるでしょう。 また、大阪らんちゅうの例からもお分かり頂けることと思われますが、いったん種が絶滅してしまうともとの形質的特徴を人手により完璧に再現することは困難極まりないことです。ですから良い血筋をつくりのこしていくことが大事です。

 優秀な遺伝的形質を有する親魚同士の交配により産まれた稚魚を、人手により人為的に不良な種を淘汰し、優良種のみの保存を進めていこうとすることが良い血筋を残すということにほかなりません。その優秀美を客観的に鑑定するのが品評会の役割といえるでしょう。 もちろん血筋にこだわらず(どの血筋も、元は同じです)蘭鋳の可愛さに魅かれての飼育でも十分に真の蘭鋳愛好家たり得ます。明弐歳(二歳)ぐらいまでの稚魚の期間はその健気な愛くるしさを堪能し、成長するにつれて体型美体色美の移り変わりを楽しめますので、ほかの金魚では味わえない面白さがあります。自分の手塩に掛けて育てた蘭鋳が品評会などで賞を取るようなことになれば、ほとんどの方は、蘭鋳狂熱病罹ってしまいますのでご注意?!!ください。

icon009.gifらんちゅう魅力考item060.gif

 蘭鋳の魅力は何といってもその独特な容姿から醸しだされるなんとなく愛嬌ある表情と腰を優雅にくねらせて泳ぐゆったりとした気品ある泳動にあるのではないでしょうか。明二歳(孵化して二年目)ぐらいまではこのような可愛さがとても金魚とは思えない程です。 

 年月を経て、参年、四年にもなるともう立派な親魚となり可愛いというよりむしろ威風堂々たる面構えを有するようになり体格よく発達し、その眼をむいて睨みつけるような威圧感、それとは対照的に、腰から尾鰭にかけての気品ある優雅な泳ぎ(裾さばき)は、あたかもその体型は相撲の力士のようであり、優雅な泳ぎとその色艶やかさは、あたかも華やかな衣装を身に纏い道中を撫でるようにあるくおいらん道中のようでもあり、はじめて飼われる方は何とも風変わりな金魚がいるもんだと思われるはずです。 

 あえて一言でいうならば、ひょうきんでいて、堂々たる優雅さをこの生き物に感ぜずにはいられないでしょう。以上のように、外形的で内性的な美しさをもつこの魚は単に風変わりな金魚という枠組みを遙かに通り越えてしまって、各自の飼育方法による人間の手によって長い年月を賭けて創り出された芸術作品といえるでしょう。現にその歴史の古さと継承の絶えること無きや、大小問わず様々な形で開かれる品評会・研究会などはその会派の多様さから見ても飽くなき美の追求の賜物といえます。 誰でも最初はその可愛らしさに魅かれて飼いはじめ、世話をするのが生きがいと化し、しだいに自分の手で優雅で気品のある美しい蘭鋳の血筋を創出したくなることでしょう。そこまで思うなら、もう立派な蘭鋳愛好家です。現実的な蘭鋳飼育の魅力は、犬・猫のように隣近所への迷惑や、熱帯魚のように高度で高価な管理に気を配る必要がないことです。その気になりさえすれば、飼育設備や飼育環境にいくらでもお金をけることはできますが、とくにお金やスペースをかけなくても品評会で賞を取れるような魚を創るチャンスは誰にでもあるということです。(賞が取れれば相当なお値打ちものとなります。) 錦鯉のように広い池を必要としませんし(ベランダで飼う人もいます)、成魚になれば市販の一番安いペレット餌料でもすくすく育ってくれます。また品評会用に赤みを出すような餌を自分で研究開発(シークレット)する楽しみもあります。何事も人に習うには限界があります。なぜなら、飼育環境や種魚が違ったりしますから自分なりの飼育経験から学んだことのほうが得てして有益なことが多いのです。ただ、全くの基礎知識がないのも高価な観賞魚を死に至らしめる大きな原因となります。そこで、初心者の方に用意させて頂いたページが「らんちゅうの飼育」です。このぺーじで少しでも自信がもてたら、「らんちゅう鑑定講座」のページで良い魚がどういう体型・色柄なのかを感じとってください。(必死で覚える必要は全くありません飼育していくうちに垣間見る程度で十分だと思います。)おそらく蘭鋳を見る目が、単なる可愛さから生きる芸術品を観る目に変わることでしょう。
    
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