siiku.jpg

HOMEへ戻る item086.gif

icon009.gif金魚飼育の三原則
三原則を守って飼えば、そう簡単に死ぬことはありません。 夜店などで金魚を買って来ても長生きしたためしがないという方は、つぎのことを守れば、蘭鋳に限らず元気な金魚を育てることができます。(ただし最初から魚や水に寄生虫や病原体が入り込んでいないことが前提条件といえます。)


 壱、容器に魚を多数入れ過ぎない(薄飼い)

 弐、餌のやり過ぎは禁物(食残さない程度)

 参、季節により水換かえの量を変える(古水:新水の割合)

icon009.gif購入前後の注意
 夜店などで買ってきて死なせてしまうパターンですが、買ってきた金魚をいきなり自宅の水道水にいれてしまうのはよくありません。(井戸水も同じ)ら蛇口をひねって出て来たばかりの水は、空気と接していなかったために酸素を多く含んでいるとは言えません。この点は井戸水であっても酸素不足といえます。また水道水には金魚に有毒なカルキが含まれているので、ばっ気して空気と触れさせない限りカルキは抜けません。また金魚が店で売られていたときの水と自宅の水ではその水温に大きな差のある場合が多く金魚が急激な温度変化についていけず疲労して死んでしまうことがよくあります。このような場合、金魚は激しく動き回るのですが、これは元気が良いのではなく苦しんでいるのです。また、金魚を貰ったり、買ったりする前にその金魚が病気をもっていないか十分確かめておきます。専用の薬で薬浴すれば治る病気もありますが、わざわざお金を払って買うのですから、病気持ちでは何の意味もありません。ホームセンターやペットショップの中には、イカリムシなどの寄生虫の付着した金魚を平気で水槽にいれて売っているところがあります。(私も最初の頃は、知らずに病気の金魚を高値で買ってしまいました。わざわざその病気の説明を受けて薬まで同じ店で買わされたときは、後になって自分の愚かさに気付きましたがが、後悔先に立たず。もう2度とその店で金魚を買うのは止めました。皆さんも、このような店では買わないで下さい。ちなみに、ホームセンターでの出来事でしたが今でもその店に行くとイカリムシの付いている金魚を平気で水槽に並べて販売しているのには呆れます。おそらく金魚の健康管理にまで人手を掛けられないのでしょう。感じのいい店なので残念です。)注意深く確かめてから購入しないと後で後悔することになりかねませんので信頼できる店を探すことからはじめてましょう。

 
 
壱、購入前、水道・井戸にかかわらず、容器に2、3日水を汲み置く

 弐、壱の容器にあらかじめ濾過器やポンプで水を循環させておく

 参、購入時、魚に病気がないか確かめる(カビ・虫など)

 四、購入後、ビニール袋のまま池に浸け、温度差を和らげてから放す

icon009.gif飼育時の注意

 金魚には、いろいろな種類やタイプのものがあります。たとえば体型が細長く、激しく動き回るタイプの和金やコメット、逆に動きのゆったりとした丸手の蘭鋳や出目金、東錦、オランダ獅子頭など、さらに動きの鈍い土佐金など多種多様です。激しく動き回るタイプの金魚と遅いタイプの金魚を同じ容器で飼うと遅いタイプの金魚はストレスを感じ衰弱してしまいます。また、同じタイプや同種のものでも大きいものと小さいものでは餌を食べる速さや量にも差が出るのであまり好ましい状態とはいえません。私もそうだったのですが最初の頃は多種類の金魚を同じ水槽に入れて飼いたくなります。しかし大切な金魚を殺さずに飼い続けたいなら、1つの飼育容器の中に、同じ種類で同じ大きさの金魚だけ集めて飼うようにします。餌は時間に余裕がなければ、朝晩の2回でも構いません。金魚は餌を与えれば、続けていくらでも餌を欲しがります。これは金魚に胃がなく餌が直腸に流れ込むためで、あまり与えすぎると下痢や消化不良を起こして病気になりやすくなりますので注意が必要です。また金魚は餌を与えなくても3〜4ヵ月ぐらいは生きられます。(冬場は水槽のコケを食べているので、餌は与えませんが、品評会用に大きく育てたいなら冬場でもヒーターを入れ水温10℃以上にしておけば餌を与えて構いません。)金魚のためにはたまに絶食させるぐらいのほうがむしろ良いといえます。また水換えの前後は餌を与えずに絶食させるのが基本です。ただし品評会用に大きく育てたいなら丸一日といわず、元気があれば水換え後すぐに与えてもよいでしょう。餌ヤリの分量は、要するに、金魚の飼育環境と体調次第といえます。水温が高く朝昼晩の温度差があまりない夏は成長期で年間で最も餌を食べる時期です。水温10℃以下となる11月中旬〜3月中旬頃までの冬は餌を全く与えず、夏から秋にかけ溜めておいた古水(=青水=植物性プランクトンが繁殖した緑水)に魚をいれ、日当たりがよく風雨を防げる所で、朝晩の温度差の小さい所において静かに冬眠させます。冬は腹が減ると古水のコケを食べているので餌をやってもあまり食べずに残りかすで水質悪化してしまいますので餌を与えてはいけません。春は産卵前に大食いしますが朝晩の温度差が大きい時期なので適量を心掛けねば魚が衰弱してしまいます。春は冬眠から覚め徐々に餌を食べ始める時期なので餌やりは特に注意が必要です。また秋は冬眠に備えて荒食いしますが水温の低下に伴って食べる量も減るので与えすぎには注意しましょう。冬は全く餌を与えずに越冬させます。1容器あたりの飼育数は60cmの水槽で、エアー・濾過器なしで4〜5cmの魚が5〜8匹飼えます。エアー・濾過器をつける場合は、理論的に付けない場合の4〜5倍の数が飼えますが、魚は成長とともに大きくなるので、60cm水槽で5〜6匹が無難な数でしょう。容器にあまり多くの魚を入れないいわゆる「薄飼い」のほうが病気になりにくく餌の与え過ぎによる水質の悪化も遅くなり魚も良く動けて健康で泳ぎの軽やかな魚となります。ただし極端な薄飼いは競争心が弱わまり、餌もあまり食べなくなるので注意が必要です。


 
壱、同じ容器に同種・同サイズ魚を競争心有する程度の薄飼とする

 弐、餌ヤリは、食べ残さない程度とし、1日に2〜3回にわけてやる

icon009.gif飼育容器について
 飼育容器はどんな魚を飼う場合でも必要ですが、蘭鋳の飼育容器はさほど深いものは必要ありません。せいぜい25〜30cmの深さで十分です。そうなると一般的な市販の水槽では深すぎる感がありますが、水を浅めにすればよいでしょう。既に所有されている方は2〜3匹ならそれで十分ですが、同じ体積なら深さよりも面積が広くなることが飼育容器には向いています。空気との接触率がよく酸素の供給量がUPし、その上面積が広くなれば1つの容器でたくさんの魚が飼えるようになるからです。 このような理由で、これから蘭鋳を飼われる方には、FRP製のコンクリートを煉るトロ船(※経済性・掃除・管理・移動の面で一番です)をお勧めします。外見はトロ船そのもので水抜き栓や底に皿のような窪みが付いた蘭鋳専用のFRP製飼育容器も売られていますが、かなり高価でどこにでもあるものではないのであまりお勧めできません。室内でトロ船風に飼いたいならガラス製の蘭鋳用水槽(面積が広く、深さが浅いガラス水槽)がありますがあまり一般的ではありません。野外で固定の据付設置池として、コンクリート製の枠の表面に防水用のモルタルを塗って造ったタタキ池(半畳ほどの面積1.0〜1.8m×1.0〜1.8m)など、庭や畑のビニールハウスに設置するマニアや生体業者もいますが、設置場所や補修・管理、解体に時間と費用がかかるのでかなり本格的にやられる方以外はお勧めできません。蘭鋳は本来、上観の魚なので、浅く面積の広いFRP製トロ船が手軽でもっとも楽しめる容器ではないかと思います。ただ、楽しみ方は人それぞれですから、部屋で手軽に飼うなら普通の熱帯魚用の水槽、本格的に飼うなら蘭鋳用水槽。外で本格的に飼うなら蘭鋳専用のFRP水槽やタタキ池ということになります。いずれにしても飼育者の都合にあった容器を選ぶ必要があります。塩ビの衣装箱や発砲スチロール箱でも十分に飼えますが強度にやや難があるのでお勧めできません。

icon009.gif器具類について
 濾過器がないと、日当たり良いところにある池は夏場など水質が特に悪化しやすく、かなり薄飼にしないかぎりほぼ毎日水換えしなければ水がもたなくなります。糞や食べ残しでみるみる青水(緑色)になってしまいます。ただし、糞ゴシ(網で魚の糞をすくいとる。いわば人力の濾過)は、濾過器を付けたからといっても毎日しなければなりません。濾過器は水中の植物プランクトンなどの細かいごみを濾す働きはありますが、トロ船など面積が大きくなると遠いところの糞まで吸ってくれません。あくまで微細粒子物質や植物プランクトンの除去としての仕様ですからトロ船に濾過器を設置するなら60cm水槽用の上面掛けで十分です。濾過器で糞ゴシしようとして水流の激しいものを使えば糞も吸ってくれますが、蘭鋳はオランダ獅子頭やアズマニシキなどと同じく水流が激しいと衰弱してしまいよくありません。また、らんちゅう特有の体型をつくるのに良くないので、糞ゴシぐらいは飼育者の責任として毎日してやりましょう。エアーポンプは、濾過器よりも大切な器具です。昔は、濾過器はおろかエアーポンプもなかったのですが、過密に飼育する場合は絶対必要です。また稚魚の孵化飼育管理には必需品です。稚魚はどうしても過密飼育となりがちで、また稚魚の餌にブラインシュリンプ(学名:Artemia Salina)を使う場合は、その孵化作出にエアーレーションが必要不可欠です。市販の観賞魚用のものはせいぜい2〜3の排出口しかなく容量も少ないので池が5〜6面程度に増えてくると空気の排出量が足りなくなってきます。将来的に池を増やしたり採卵して稚魚から育てたい方はいっそ浄化水槽用のエアーポンプが大容量で少々の拡張でも排出量が足りなくなることはありません。が、しかし電気代がかなり高くつきますので、大規模事業者向きです。ヒーターは、孵化時の温度管理として稚魚の発育に効果的です。(ただしサーモ付でないと異常に高温となり生体が死んでしまいます。)また冬場も品評会を目指して餌を与え続けたいなら15〜23℃に保温して体の巨大化を促す人もいます。目の細かい観賞魚用の網は、魚をスクウというより水中の糞やゴミを取り除いたりする(糞ゴシ)のに必要です。ちなみに魚を手でつかんだりすると魚の表面の粘膜が手の温もりによって傷みます。(特に、冬場は人の手の温もりが金魚にとって大やけどするほどの熱さとなります。)どうしても手で触れなければならないときは手を水槽に入れ水の温度にまで手を冷やしてから触れなくてはなりません。 自動給餌器は、家を空けることの多い人に必要な器具です。その名の通り、タイマーが自動で餌やりをしてくれる便利な優れものです。ただし、やや高価(4〜5千円)なのが難点ですね。(家族に協力してもらうのが一番です。)

icon009.gifらんちゅう飼育池の独特な風景
 装飾品として、水草・石・砂利などは見映えがしますが、水換え・掃除の簡便性や蘭鋳そのものの美しさを楽しむためには、ただの不要物と言えます。ただし、飼育にはいろいろな趣向があって当然ですから、あえて押し付けるつもりはないのですが、必ずと言ってよいほど、ベテランになればなるほど、面積が広く水深浅めの飼育容器に水とらんちゅう以外、何も入っていない、蘭鋳本来の飼い方をしています。ベテランは水草さえも嫌います。魚の表面が傷つく恐れがあるからです。例外的に、春の産卵期にタワシや水草が産卵床として入りますが、装飾品ではなく稚魚の孵化・採取用のための天然/人工魚巣という卵を取る為の産卵期の実用必需品です。その他、ペット用品売場などには、多種多様なグッズがならんで売られていますが、はっきり言ってほとんどがランチュウにとっては不必要なものばかりです。水換時に使う電気式ポンプなどは、灯油に使う塩ビポンプ(1本88円程度)の頭を1〜2度もんでおけば、サイホンの原理で水は勝手に排出できるので十分です。(使用中のものは必ず中性洗剤ですすぎ洗いしてから使用してください。)その他、スポンジなどの掃除用具は家庭用品で十分間に合います。あと濾過材に使う脱脂綿はタオルやボロキレでも代用できますが徳用のものが300円以下で出回っていますのでそちらのほうが安く付くでしょう。(こればかりは安物でいいから専用のほうが良い気がします。)また百円Shopなどにある椰子ガラ脱臭剤などは専用の濾過材などよりよっぽど効果がありますし、なんといっても専門店よりも安いの一言に尽きます。要は色々な物品の購入前に代用できるものはないかよく考える習慣を持てば、決して贅沢でお金のかかる趣味ではありません。どんな動物飼育でもそうですが、お金よりも手間ひまかけて接する愛情のほうがよっぽど大切です。

icon009.gif親魚の通年飼育管理

1.春先(3月中旬〜下旬) 

 冬の間に低温で一定していた気温が、三寒四温と言われるぐらいに日々の気温がめまぐるしく変化し朝晩の気温の変化も激しい時期です。自然界の海や池は容積が大きいぶん水温はまだ冷たいままなのですが、人工の飼育池や飼育容器などは容積が小さいぶん、気温変化に伴って水温変化が激しくなる時期です。このような時期の水換えは、今までの冬眠から完全に覚醒しきっていない金魚にとって急激な環境変化をもたらすこととなりますので、晴天で風のない暖かい日の、日中を選んで行うようにしなければなりません。飼育容器の古水の3割を取り出し取出した量と同じ分量を汲み置きの水より新水として加え元ある量とします。つまり、古水:新水の割合は7:3ぐらいとし、あまり急激な水換えは行わず、暖かくなるに従って飼育水も悪化するので徐々に水換えの回数と量を増やしていきます。つまり、飼育水の状態から目が離せない時期なのです。

2.産卵期(4〜6月)

 産卵は桜の咲くころから6月まで何回かに分けて行われます。やはり水温の変化が激しい時期ですが、水温が20℃以下なら、春先と同じく古水7:新水3の割合で水換えし、青水の色をまだ急激に薄めてはいけません。また、水温が20℃以下のうちに雄と雌を分けておきます。なぜなら、水温が20℃を超えるような日が続くようになると産卵行動(雄が雌を追尾し始める)に入るので、勝手に放卵・放精してしまうと受精卵を上手く採取できません。ちなみに餌の与えすぎは産卵意欲を低下させ、水換えによる環境変化は放卵・放精を誘発してしまうので、産卵前は餌を与えず、水換えしてはいけません。後は、天気予報などで、水温20℃以上となる暖かい日が続くような時期を調べておいて、その産卵予定日に別飼しておいた雄と雌を「新水100%の水中に産卵床を敷いておいた産卵用のトロ船(産卵池)」へいっしょにいれてやります。(詳細⇒次項、「採卵と稚魚の飼育」を参照してください)これは、新水による刺激によって産卵、射精を促進するのがねらいです。翌日、産卵池を覗いてみて卵を確認できれば成功です。(確認できないときは、そのまま待つか、ヒーターで水温を18〜23℃に保温します。)産卵が終われば雄と雌をまた別の容器にいれて餌は与えずに、休ませます。刺激があるといくらでも産卵、射精してしまいますから、魚が疲労せぬよう梅雨明けぐらいまでは、雌雄別飼いとしたほうが無難です。産卵池は、稚魚が孵化して、ある程度大きくなるまでは、水換えしてはいけません。(卵や稚魚を捨ててしまう可能性が大)また産卵池の水温は17〜20℃を保つようにヒーターで保温すれば奇形魚の発生率が低くなると言われています。

3.梅雨時(6月下旬)

 梅雨の晴れ間に水温が急激に上昇して青水が濃くなり悪化しやすく、雨続きでは、日照時間が少なく水温が急激に低下し魚の体調が悪くなりやすい時期です。また、カビが発生しやすく白点病(小白点が鰭や体表に発生し、食欲不振、死にいたる)に罹りやすくなる時期でもあるので注意が必要です。水換えは、古水3:新水7ぐらいで、春先よりも青水の色を薄めにしておいたほうが無難です。これから夏に向かい水温上昇とともに餌をよく食べる時期となりますが、餌残りかすからカビが発生しやすいので与えすぎは禁物です。食べ残さない程度が良いでしょう。

4.夏場(7〜8月)

 水温も25〜33℃の高温帯で一定し、金魚も活発に動き回り餌をよく食べます。この温度帯では死んでしまう病原体が多くあまり病気にはなりません。ただ、日照りで尾が焼けたようになる尾焼けに注意しましょう。(簾などで直射日光を避ける)金魚は夏の風物詩といわれ、この時期の飼育は簡単です。(金魚は本来、適水温が高めで18〜28℃前後。淡水の熱帯魚と共生可能で生存水温帯は0〜39℃とも42℃ともいわれています)ただし高水温による水質悪化が激しくなり、水換えの回数を多くしないといけません。古水1:新水9ぐらいと言われますが、ベテランは100%の新水にそっくり入れ換えてしまいます。(古水を捨てずに別容器にとっておき、弱ったときにその金魚を古水の容器にいれてやるか古水を少し池に戻せば良い)ただし、容器はすすぎ洗う程度で、藻をすべてハガシ取ってはいけません。付着した藻は金魚にとって重要なミネラルや植物性蛋白の餌となるので大切にします。また、水換えしても2〜3日ですぐに青くなったり白くなったりする場合は魚の数を少なくしたほうがよい証拠ですので薄飼いにしてください。濾過器も水換時に大掃除したほうが水換えの回数が減って楽です。また、成長期なのでついつい餌をやり過ぎてしまうのですが、残餌は凄まじい勢いで水を青く濁らせてしまいますから毎日世話のできないかたは、ほどほどにしておくのが無難です。

5.秋(9〜10月)

 当歳魚(その年生まれた稚魚)は、黒子(鮒色)から赤色へと完全に色変わりし、明け二歳魚も、いかにもランチュウらしいどっしりとした体型となって越冬にそなえて荒食いする時期です。また、品評会への出品予定魚に餌を十分与えて十分運動させ、来春の採卵予定の雌にも餌を十分与えて栄養を蓄えさせる時期といえます。また、いままで体型の悪いと思われていた魚に良い意味での体型変化が起こり思わずニンマリしてしまうのもこの季節です。(ベテランには期待に満ちた季節)この時期の水換えは春とは逆で、夏場の新水飼育から徐々に古水飼育へ切り替えていかねばなりません。水の緑色を濃くしていくことが必要です。なぜなら古水(青水)は植物プランクトンが水中にたくさん繁殖して緑色に見えるのですが、冬場はこれが太陽の光を吸収して保温の役目を果たし冬場でも日照りが強い日には、蘭鋳は底に付いた藻を極僅かですが食べているからです。秋は徐々に冬場の古水をつくる時期と考えてください。そこで、古水4:新水6ぐらいの割合で、5〜6日に1度ぐらいの日程で水換えを行うのが良いとされますが、あくまで目安なので水換時はなるべく古水を捨てずに別容器に入れておき日当たりの良い場所で青水を溜めておけばいざというときの助けになります。

6.冬場(11〜2月) 

 11月でも、水温10℃以上ならまだ餌も食べますが、そろそろ昼間の水温もそんなに上がらなくなってくる時期です。これからだんだん寒くなり、昼間でも水温が10℃以下の日が続けば、水換えも餌やりもしてはいけません。また水質悪化でどうしても水換えしたいときは、古水8:新水2ぐらいの割合でおさえ、20cm下の金魚がなんとか見える程度の濁りにしておきます。またあまりにも寒い時期は日照り不足で植物プランクトンが激減してしまい水が澄んでしまうことがありますがそのような場合はどの池も同じ条件なのでしかたありませんしそのままでも大丈夫です。冬眠中は日光の透過できるトタン板などで寒風が水面を直撃するのを防ぎます。また側面に発砲スチロールなど巻いておくのも一つの方法です。濾過器はつけても低温のため糞を分解するバクテリアが繁殖できずあまり意味がないのでエアーポンプを使用します。たまに中の様子を観察し無風で晴天の日は日光によくさらします。冬眠中に餌は与えませんが毎日の状態は見て確認します。冬場でもヒーターで水温15℃ぐらいに保っていれば、餌を与えて構いません。ヒーター飼育は大きく育ちますが路地飼育のほうが産卵活動がスムーズに行われます。路地の寒い冬を乗り越えた金魚は春先の水の緩みを感じ取って春の訪れを知り産卵を意識し始めるからです。それに対してヒーター飼育の場合は一年中春か夏のようなものなので、春を感じ取れなくなって産卵のタイミングがつかめなくなってしまいます。春の品評会用の魚を大きく育てたいなら冬もヒーター飼育で餌を与え続けますが、来年春の採卵予定の親魚は冬場にヒーター飼育してはいけません

icon009.gif採卵と稚魚の飼育
 らんちゅう飼育の醍醐味は、なんといっても優良な血筋(泳動・色柄・体型が優良)の魚だけを残し、それを優良親魚として交配させ、さらなる優良魚を目指すという延々性にあります。その作業は楽なものではありませんが一年を通じて来年の目標や期待感に充実した年月を過ごすことができ日々の暮らしに張りと少さいながらも誇りが生まれます。優良魚を作るには優秀な親魚の選定が大きな鍵を握ります。飼育者の努力で良いものに作り上げていくことも可能ですがなかなか困難な作業となります。らんちゅうはやはり血筋がものを言いう世界です。競馬のサラブレッドに似ています。さほど資金がかからない点が庶民の娯楽としての由縁でしょう。親魚の選定と管理、採卵、稚魚の孵化、稚魚の選別淘汰と飼育という技術が必要です。
<親魚の選定>
 優良な親から産まれた稚魚がすべて優良魚に育つとは限りませんが、優良血筋を受け継いだ稚魚が生まれる確率はそうでない親から産まれたものより高くなるの自然の摂理です。とは言え一腹3000〜5000匹といわれる一回の産卵で選別淘汰ののち良いものがせいぜい2〜3匹残れば万々歳と言われる世界です。このように、良い親を選んだとしてもなかなか品評会で賞をとれる魚は、ほんの僅かまたは皆無といって差し支えありません。ところで、採卵用の親魚は、参歳(産まれた年から数えてその年で3年目の春を迎える魚、つまり、この世に生を受けて二年以上経過した魚)以上のものを選らんだほうが失敗せずに済みます。なぜなら、明け二歳魚(産まれて2年目の春を迎えた魚)でも抱卵しますが、まだ未熟で受精したとしても卵は未熟卵になることが高い確率でおこります。仮に稚魚が孵化したとしても、正常に発育できないことが多くなります。したがって、参才以上の優良親魚を採卵用に選びます。また、どんな泳動・色柄・体型の親魚を選んでよいのかよくわからない方は、「らんちゅう鑑定講座」のページをご覧ください。

<親魚の健康管理>
 飼育者にとっての採卵準備は前年の秋より始まります。秋に、採卵する雌親に十分餌を与え、十分に運動させておいてください。(濾過器の水量を普段より強くするなどし、十分泳がせながら、浮上性の顆粒餌を与えるとよく動いてよく食べるようになる。ただし、一日中泳がせると弱るので注意しましょう。)冬場は、屋外で雨・雪・寒風を避け日当たりの良い場所に飼育池を設置し青水の状態に気を配りながらそっと見守ってやります。冬眠中は餌を与えません水温10℃以下となる11月下旬〜3月上旬頃)冬を無事乗り切ることができれば、産卵準備に取りかかる春がやって来ます。三月も半ばになると次第に気温も上がり、それにつれて水温も上昇してきます。ただし、朝晩の温度に差があるので、まだまだ本格的な産卵シーズンの到来とはいえません。(水温20℃以下では産卵行動には移しません)この時期にやっておくべきことは、まず長く厳しい越冬のあいだに採卵用の親魚が病気にかかっていないかどうか確認をしておきます。春先によく発生する病気に魚の風邪引き(白カビのようなものが体表に発生)がありますが心配はいりません。対処法は観賞魚用の薬剤ニューグリーンFを適量水に溶かして5〜6時間ほど薬浴(4〜5日間継続)させるか、軽いものなら、最初の水換時に手のら一つまみの塩を飼育層へ放り込んで様子をみてください。(塩は金魚飼育のキーポイント、あらゆる病気の予防に塩を一掴み池に入れておきます。軽い病気なら塩で治ります。
<採卵前の準備>
 春先の日中の暖かい日は、魚がよく動き回るようになります。このような暖かい日を選んで、今年で最初の水換えをおこないます。このとき、いきなりきれいな新水とせず、古水の濁りを少しだけ薄めるぐらいとしてください。(産卵は桜の花が咲くころからはじまる)最初の水換時、雄と雌を別々の容器に移しておきます。餌は少量与える程度で与えすぎないこと。餌の与えすぎは放卵・放精の意欲を喪失させる原因となる。一方、飼育池とは別に、桜の花が咲くまでに産卵池とその中に敷く産卵床の準備をしておきます。産卵床は、タオルや水草、素焼きの鉢などいろいろなものが使われます。慣れてきたら自分でオリジナルの産卵巣をつくりましょう。慣れるまでは市販の産卵巣や水草を束ねて、トロ船60〜80ぐらいのものに入れ、その船を全くの100%の新水で浸しておきます。(新水刺激で産卵を誘発するためです)このときエアーが床の真ん中から出るように床下にエアーポンプを忍ばせておいてください。また、セッティングの前に池の内側は園芸用の防虫ネットを敷いておけば卵の取りこぼしがなく安全です。
<採卵の時期と方法>
 桜の花が咲き揃い暖かい日が続いて、日中の水温が20℃以上の小春日和が続くだろうと思われる日取りを事前に調べておいて計画的に行えば勝手に産卵が終わってしまっていたなどという失敗をせずに済みます。このような時期に、別飼いにしていた雄と雌を準備しておいた産卵池に入れてやります。(できれば、メス1匹に対して、オス3匹で受精率を高める)新水刺激によって、大抵は次の日に放卵・放精が終わりますが、うまくいかないときは2〜3日様子をみみます。どうしてもだめなときは、一度しきりなおしてから、もっと暖かくなったころに再度挑戦するかヒーターで人工的に水温を25℃以上に保温したほうがよいでしょう。無事、卵を確認できたらすぐに雄と雌を別々の容器へもどします。通常、産卵行動は1回では終わらず、6月頃まで何回かに分けて起こるので、魚を弱らせないようにします。親魚の飼育池は、水換えと餌やり回数を徐々にふやし体力回復はかります。産卵後の産卵池は、エアーポンプをつけたまま、透光性のトタン板などで覆い保温して孵化を待ちます。ヒーターを入れて水温25℃ぐらいに保温すれば孵化までの時間が短縮でき、朝夕の温度差による奇形魚の発生率が下がります。(稚魚はまだ小さすぎて選別不可能)
<稚魚の飼育>
 稚魚は、孵化してから2〜3日の間は[さいのう]と呼ばれる栄養の詰まった袋から栄養をとることができのでタワシの間でじっとしてあまり動きません。孵化後3日目ぐらいからブラインシュリンプをおおさじ一杯/day×10日間与え続ける。(ブラインシュリンプは市販品の微小甲殻類の乾燥卵です。水に入れエアーを通気すると孵化しミジンコぐらいのおおきさになります。蓮池に棲むミジンコでもいいのですが確保するのが大変です。)水換えはまだしないほうがいいです。孵化後約2週間でだいたい尾つきの悪いものや、泳ぎの悪いものがわるので1回めの選別を行える大きさとなるでしょう。孵化後2〜3週間でマッチ棒の軸ぐらいの大きさとなり、尾の不正の「差し尾(突っ込み)」「つまみ尾」「腰曲がり」「鮒尾(ふなお=スボケ)」などがわかるようになるが、疑わしいものは間引かず次の選別で処理します。孵化後1ヶ月もすれば、たばこのフィルターほどの太さとなり、ややランチュウらしさがでてきます。それまではメダカに見えます。たばこフィルター大になれば、冷凍赤虫を食べ始めます。選別に自信のない人は、これぐらいの時期から選別すれば良いでしょう さらに4〜5日も経つと、ぐんと太さを増し、小さ目の顆粒状の餌も食べるようになります。口が小さくて食べきれないときは、ぺンチなどで砕いて小さくして与えればよいでしょう。またこの頃から、競争心を失わない程度の薄飼いとし、濾過器を使ってよく泳がせるのがよいでしょう。また、冷凍赤虫とペレット(顆粒)の両方を与えるのが栄養バランスには良いとされています。とにかくよく食べますから、稚魚といってもあなどれません。また、病気の予防に一番簡単な方法として、塩を一握り、池に投じておけば、万全です。また親と同じく、容器に発生し付着した藻は水換時に洗い落とさずに残しておくことを忘れないようにしてください。基本的に当歳魚(その年に孵化した稚魚)の育て方は、ペレットを食べる頃から親魚と全く同じ飼育法になります。当歳魚は次の年の春に明け二歳魚と成るのですが、明け二歳魚は採卵には不向きなので、どうせなら当歳魚の場合は冬場にヒーターをいれて餌やりを続けできるだけ大きく育てておくほうがよいでしょう。(3年目の採卵に備える)稚魚の飼育も初期の餌やり以外は基本的に親魚の飼育と変わりません

HOMEへ戻る

item084.gif

 

 

 

  


100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!